世の中の当たり前が変わって、今まで結婚式を通して沢山の喜びという感情に共感することが
大きなやりがいの1つになっていた私に待っていたのは、誰のために、何のために、なぜ仕事をしているのか?という自分への問い。
この状況のおかげで、日常で見失いがちな本来ありたい自分に立ち返る機会を頂いていました。
結婚式が大好きな理由として浮かんできたのは、感情が溢れるから。
新郎新婦様のご家族や大切なゲストに対する感謝の想いに触れたり
そのために、準備に励む姿。
また、お衣裳選びの過程の中で、自分はどんな衣裳を纏うことで、当日の笑顔が浮かぶのか?と
考えている時間。
この日を迎えるまでに、様々なことを乗り越えてきたおふたりのストーリーが
走馬灯のように駆け巡って、感情移入してしまうのです。
感情移入すなわち、感情共感とは、他人事ではないと言えると思っていて
新郎新婦さまのことを、客観的ではなく、自分事として捉える強みであり、弱みをもっているのだと
気づきました。
毎回、毎回、なんでこんなに涙したり、一緒にドキドキしたり、笑ったりしてしまうのか?
結婚式に携わることで心が動いたり、夢中になってしまう大好きな理由がここにあったのだと
今ごろになって自分を理解しています。笑
そして、私がこれだけは絶対に手放したくない、譲れないものとして軸にあったのは
お客様の喜びの先にある関係性。
目指すべきゴールが、結婚式におふたりらしく心地よく過ごす輝きの日ではなく、
結婚式が終わった先にある、お客様という枠を超えること。
衣裳店としては面白いyogaやアクセサリーや、アイシングクッキーづくり、オリジナルアクセサリーのオーダーや、花と花瓶展、縁<ENKAI>会と題したイベントを積極的に行ってきたのも
再会の機会創出と、お客様という枠を超えて関わり続けていきたいという私の心からの願いから。
ここ3年ほど、力を入れて開催してきたイベントには、喜びの先にある関係性を育み繋がり続けたいというビジョンが形になっているものなのです。
では、私は、関係性を築く前の仕事としてお二人に何を届けているのか?ということ。
(20年間このことを追求してきたのに、言語化するには時間を要してしまいました。)
私がアパレル、ウェディングのスタイリストとしての考え方として持っているのは
まず、スタイリングとは
同じドレスでも着る人によって全く違って見えるのは
ご身長やご体格、お顔立ちや雰囲気など、ほとんど同じ人はいない個性を誰もがもっているから。
だからこそ、スタイルやファッション、ヘアスタイルやメイクなどをアレンジして
その人自身のイメージに合うようにすること。
このことを、「スタイリングを通して”ここが私の好きなところ”へとガイドする」と定義しています。
ご自身のスタイル(生き方)を表現するためのスタイリングであるというスタンスで
お客様に関わってきました。
このスタンスは、スタイリストをしていても、ヘアメイクアーティストをしていても変わりません。
ご来店くださったときの、ファッションやメイク、お持物全てに選んでいる理由があって
その理由の軸にある価値観に寄り添いながら、スタイリングすることで表現し
あなたはあなたのままで美しいということを伝えています。
ご自身が自然でいられて、これが私なんだと納得感が生まれたときに
心地よさを感じてくださることこそが、私自身が自分に掲げるプロとしての定義であり
お届けしたいこと。
おふたりが心地よく過ごすまでの過程と、喜びから生まれる関係性の先には
目には見えない深い繋がりが育まれていることを、今も感じさせていただけることに
心から感謝しています。
花嫁様の最大の楽しみの1つであるお衣裳選びのプロセスが、お気に入りを選ぶだけで終わらず
選んだ後の、スタイリングこそが自分らしく纏うことへの重要なポイントになること。
自分をよくわかっていて貫いている人が美しいと感じるように
私の職業観とともに、お伝えできていれば幸いです。