和装は日本の民族衣装。
様々なしきたりや約束事もありますが、それぞれにご先祖様を、ご家族を、おふたりを想うがゆえの
意味や言い伝えがあり、わたしたちも今を生き、その衣裳をご案内するプロとしての基本的な知識を
学んできました。
今一度、自分たちの現在地を確認した時に、弊社が50年を超える歴史を重ねてくることのできた
和装のことを、もっともっと深く見識を高めたい。
そして伝統を守りながら、らしさを大切にする現在の花嫁様に求められるご提案ができるようにと
自身の眼で見て感じてきたことを書きます。
まず私たちが訪ねたのは西陣織の伝統工芸士さん。
絹を紡いだ糸を「染める」プロフェッショナル。
糸を理想の色に染め上げる過程において、目の当たりにしたのは
その職人さんの長い経験の中で培われた機械で図り、見抜くことのできないレベルでの
染料の配合。そして時間。
なにより、「染め」において圧倒的な誇りと自信をもって、理想を追い求める工芸士さんのあり方そのものでした。
「西陣というのは、それぞれの工程に、高い技術をもった職人がいて、それだけを、そこだけを追求し
分業することで1着を完成させているんです。
自社で生産から販売まで行うことでコストの削減は叶うかもしれませんが、このデザインを表現するための
色を演出するという使命があるんです。」と。
色打掛のデザインが、そして纏った時に花嫁様の表情をさらに輝かせてくださる根底にあったのは
この工芸士さんがいてくださるからなのだと身を以て体感した瞬間でした。
そしてその糸を丁寧に巻き付け、「織り」へと向かう準備工程。
先程の職人さんが丹精込めて染め上げてくださった糸が美しく輝いていて
また、デザインを表現するために、内部でこんなにたくさんの糸と色の重なりがあることを知ります。
「織り」の工程で出会うことのできた川島織物の職人さん。
「描かれた絵柄に添ってふっくらとした織物を目指しているんです」
「私たちには思いつかない色合わせやデザインがあって、日々勉強させてもらいながら
この打掛を着て花嫁様になってくださる方がいると思うと、こだわりが強くなるんです」と。
ここでも出会えたのは完成のイメージを明確に描き、そこに向かって追求する職人さんの
当たり前のことを誰よりも一生懸命丁寧に行うあり方でした。
よい着物とは何をもって定義するのでしょうか??
染め、織り、仕立てに関わる職人さんの技術によって、
また扱う素材が正絹(天然シルク100%)なのか、化繊なのか、交織(柄を織る糸が化繊)なのか。
私たちは前提として、第一礼装=正絹であるという価値観の元、ご新郎、ご新婦さまのお衣裳を
ご案内しつづけてまいりましたが、先代がなぜここにこだわるのか?という理由。
温かな風合いでお顔なじみがよく、
ご自身のお体のラインに沿ったしなやかな曲線美の表現が叶うからだけでなはく
その1着に携わる一流の技と志が宿っているからなのだと。
和装に描かれている柄行きにどんな願掛けが込められているのか?
また、おふたりの佳き日にぴったりな日本の四季や花が華やかに美しく描かれ
その季語や花言葉にに添ってご提案することの楽しさを誰よりも感じることができたのです。
1着に込められた素材の選定、デザイン、色使い、織り、仕立ての美しさ、その1つ1つの工程があって
圧倒的な美しさになるからこそお店に並んでいるということを、
よい着物を扱っているという確信と誇りを皆様にもお届けいたします。